2月7日、8日の2日間、マシンツールフェアを開催いたしましたので、その一部内容をお伝えします。
多数のご来場、誠にありがとうございました。
2月7日(木)
講師 : 株式会社ファベスト 常務取締役
金子豊久 様
株式会社ファベストにおける
金型製造コンセプト および取組みのご紹介
<要旨>
同社では「単品並列加工」に取り組んでいる。従来の金型製造では、金型本体(鋳物構造)に鋼材を複数組み付けて加工していたが、金型本体と鋼材の加工を別々で行い、加工後に組み付けて完成させる方式である。
その目的は、①鋳物の入庫を待たずして加工を進め、納期短縮すること。②鋼材加工にFMS(※)を適用し、機械稼働率を上げること。③大形機械の台数低減による、設備投資削減である。同社ではこの取り組みを進めることにより、納期短縮・稼働率アップを実現した。
(※FMS…フレキシブル生産システム。マシニングセンタとパレットで構成され、かつCAMデータが自動的にマシニングセンタへ送られることで、鋼材加工を無人化するもの。鋼材のパレットへの設置・工具交換のみを人手で行う。これにより、作業人員にオペレーション技術がなくても一人で複数台の機械を受け持つことができ、稼働率を向上できる。)
この「単品並列加工」方式では、単品加工品を組み合わせるためのベースとなる金型本体(鋳物構造)の、一次加工の精度が重要となる。同社ではMVR30Fxを導入し、一次加工精度が向上。単品加工品の位置決めが良くなったことで、工数削減を実現した。また、基礎変化による機械精度の狂いについても、同機で導入した「空間誤差補正システム」により把握・補正し、精度維持が可能となった。今後はMVR30Fxの高速主軸による加工面品位改善で、グラインダー工程の削減に取り組みたいと考えている。
2月8日(金)
講師 : 名古屋特殊鋼株式会社
常務取締役 中村祥司 様
名古屋特殊鋼株式会社における
金型トータルエンジニアリング体制のご紹介
<要旨>
同社は特殊鋼商社として1965年に創業、1984年の金型加工開始以来、金型メーカーとしての事業を伸長させてきた。鍛造用・プレス用・鋳造用など取り扱う金型は幅広く、サイズも300gのものから300kg以上まで、さまざまである。同社では、次のように金型製造にかかわる多彩な取り組みを行っている。
・超硬材金型のマシニング直彫り加工
超硬材金型の加工は型彫り放電加工が主流であるが、素材形状・使用工具・加工条件の組合せを検証し、直彫り加工による製作を可能とした。
・工程設計・金型設計・成形解析技術の確立
鍛造製品図やモデルから、最適な工程設計・ダイセット・型設計までを検討し、トータルサポートを行う。冷間鍛造、粉末成形、精密プレスなどで適用。また、子会社の北陸精鍛株式会社では、それらの技術を応用し冷間鍛造部品を量産している。
・リバースエンジニアリング技術の構築
モデルや割れた金型など、マスター型をATOS(3次元デジタイザ)測定することにより、CADモデルを作成する。図面の無い金型でも製作が可能。また、マスターとなる型にミガキや溶接などの補修が行われていても、形状をデータ上で検証することができる。
・溶接技術確立による金型補修
磨耗・割れ・欠けが発生した金型を、溶接・仕上げ加工により補修する。磨耗部位の測定から溶接時の金型保温など、技術を確立している。
・カスタムメイドインソールの製造・販売
金型を高精度に加工する技術と計測する技術を組み合わせ、一人一人異なる足に合わせた「LaNICOカスタムインソール」を製造。柔らかい樹脂素材の機械加工に適した刃具も開発。
また、女性用のハイヒールやパンプスなどに適したインソール「フェアリーハグ」を自社で設計・開発し、射出成形による量産を行っている。
これらの取り組みにより、同社では金型のトータルエンジニアリング体制を築き、企業価値を高めている。
μV1, μV5は、精密加工機・高速主軸でありながら低速での粗加工にも対応する、汎用性の高さが特長です。マシンツールフェアでは、機械剛性を高めた構造、主軸の冷却・潤滑システム、環境温度変化の影響を受けにくくするサーモスタビライザーなどについて、ご紹介しました。
また、実機ではデモ運転を実施。μV1では、主軸回転速度40,000min-1で、高い面品位が求められる放電シフト電極の加工、μV5では、主軸回転速度2,870min-1で、自動車フロントグリルの高能率粗加工をご覧いただきました。
MVR・Fxは、大形金型における段差ゼロ・形状誤差ゼロ・手仕上ゼロに挑戦する機械として、開発しました。大形機でありながら、サブミクロンの制御で高精度な加工を行います。
マシンツールフェアでは、工具交換や割出角度を変化させて加工しても、加工域境界の段差が抑えられる“割出5軸ヘッド(ユニバーサルヘッド)”と工具測定システム“Visionplus Tool”の動作をご覧いただきました。割出5軸ヘッドに組み込まれた主軸内部冷却が熱変位を安定させていること、かつVisionplus Toolを使用して、正確な工具切削点を把握することで、段差のない加工を実現。後工程の「手仕上げ」に掛かる時間を削減することにより、金型製造の生産性を向上します。
MVR・Exは、主軸内部冷却やサーモスタビライザで熱変位を抑制した高精度構造、かつ高剛性でラム突き出し時の加工に強く、様々な部品加工で活躍しています。
マシンツールフェアでは、①切込5mmのフライス加工、②奥深い位置の穴加工をイメージした、ライトアングルヘッドでのロングボーリング加工、③金型加工における深堀加工を想定した、高送り加工を実演。様々な場面で高効率に加工ができる、充分な能力をご覧いただきました。
LAMDAは、独自にレーザーフォーカスを最適化したパウダDEDヘッドで、高能率・高精度積層を行います。DED方式とは、材料粉末とレーザーを同時に照射し、材料粉末を溶融・凝固させて積層造形するものです。従来の金属3Dプリンタと比較し造形速度は10倍以上。また、造形中の金属材料切り替えが可能です。主に、大形製品の造形や、異なる金属材料の積層、既存製品の補修などに適しています。
マシンツールフェアではデモ動作とともに、積層サンプルをご紹介しました。
ZE16Cは、自動車やロボット用減速機分野での高精度歯車の需要に応え、量産能力を高めた研削盤です。
マシンツールフェアでは、砥石ヘッドとテーブル系の剛性アップによる高精度な加工、ワーク交換・ドレス割掛け時間の短縮により従来比20%アップした生産性、故障の少ない高い信頼性などの特長をご紹介。また、水溶性研削液でねじ状砥石を用いた創成式歯車研削加工や、ポリッシュ研削など、お客様のご要望に応じ活用頂ける対応例をご紹介しました。
当社はスーパースカイビングカッタの開発により、スカイビング加工の長所を活かしつつ、従来の課題であった工具寿命を大幅に伸ばすことに成功しました。MSS300はスーパースカイビングカッタとの組合せにより、高効率かつ高精度な歯車加工を行います。
マシンツールフェアでは、全軸の幅広なすべり案内面・Z軸ツインボールねじ構造を採用した左右対称構造のサドル・寸法変化の少ない安定した加工を実現するセンタトラフ構造といった、機械構造をご紹介するとともに、内歯車加工のデモを行いました。
DIASCOPEは工作機械の知能化・自律化・最適化を実現し、お客様のバリューチェーン全体における生産活動の最適化をサポートするIoTプラットフォームです。マシンツールフェアでは、MVRExでの適用を開始した「設備ヘルスモニタリング」の機能や、工具の磨耗・折損を検知する機能実用化への取組みについてご紹介しました。
設備ヘルスモニタリング
・設備モニタ
ユニット単位で稼働実績やセンサをモニタリングし、設定した閾値を超過した場合、web画面でアラーム表示。
・検査運転モニタ
面上の操作で検査運転プログラムを実行頂き、主軸・サーボ情報、加速度センサの情報を取得。AI&機械学習での処理により、設備定期点検をサポート。
マシンツールフェアでは、新開発の材料、コーティングをご紹介しました。
・ホブ新材料 GRANMET SF
耐久性を極めた最高峰の金属
耐熱性(高温硬さ) 、耐摩耗性に優れた新素材。クレータ摩耗対策に効果絶大。超硬ホブ並の切削速度300m/min以上の高能率加工に対応。
・新コーティング MightyShield Σ
切削刃を守る万能の盾
耐摩耗性に優れた高硬度コーティング(Hv4,000)を採用し、寿命アップを実現。幅広い加工領域(ハイスホブ、超硬ホブ)に対応。ドライ加工&ウェット加工、どんな切削環境でも性能を発揮。