有限会社駒井技研は、1987年10月、群馬県高崎市にて創業されました。大型精密部品の機械加工を手掛けられており、その分野は半導体装置、液晶装置、工作機械、産業機械と多種多様です。当社門形五面加工機MVR25Exをご使用頂いており、代表取締役社長の駒井明男様に、お話をお伺いしました。
駒井社長 そうです。わたしは、元はというと高崎市内の鉄工所で、29年間仕事をしていました。そこを退職することになり、さて何をしようかと考えたとき、縁あって大型の平面研削加工機を購入し、当社を立ち上げました。それが始まりです。
機械加工を扱う方々の話を聞いていると、研削盤は常時稼動することができず休眠しがちで、「研削盤は持たない」と言う鉄工所・工場が多い。とはいえ研削仕上げが必要な仕事は出てくるわけです。そんな中で当社は、ちょうど大型の研削盤が手に入ったものですから、その仕事をどんどん請けることになりました。そこから現在は、材料から、溶接、切削、熱処理、表面処理まで、一貫工程を行うに至っています。
駒井社長 2016年に購入したのですが、当時、ある印刷機械部品の精度が、既存の設備では出なかったことがきっかけになりました。細長い板の両側面に多数の穴加工を行うのですが、1mあたり、だいたい誤差15µmまでの穴ピッチ精度が求められるものです。
元々は横型マシニングセンタを使って加工していました。しかし、片方の側面を加工した後に段取り替えして、もう片方の側面を加工する、という方法しかないので、向かい合う穴同士が合わないのです。(※イメージ図参照)
本来は、お客様への輸送中の温度変化でも精度が狂うのを気にしないといけないような、精密部品です。やはりこのままではいけないということで、1回の段取りで両側面を加工できる、五面加工機が必要だと考えるようになりました。
駒井社長 加工後、およそ600箇所を3次元測定器で計測するのですが、従来の横型マシニングセンタでは18%程度NGが出ていました。それに対し、MVR・Exを使用するようになってからは、ほぼOKです。99%OKと言えると思います。
精度も出るようになり、また1回の段取りで済むので、効率化を進めることができました。
駒井社長 元々、中古で購入した三菱製マシニングセンタを使っており、その基礎を流用したいと考えたのです。
以前わたしは、鉄工所で勤めていたときにも、新規の旋盤やプレス機械の立ち上げに関わり、設備導入時の基礎の重要さを、身に染みて感じていました。
しっかりした基礎を作りたいが、コストも抑えたい…ということで、三菱さんの営業マンに相談しました。最終的には、多少の追加基礎工事を行いましたが、1からつくることを考えると、最小限の費用に抑えることができました。
駒井社長 現在MVR・Exを使う仕事は、先ほど話題に出た印刷機部品がほとんどですが、この他にも仕事を取り込んで、活用していきたいと思っています。具体的には、航空機部品の金型です。作成したプログラムを流し込んで夜間の自動運転をかけ、稼働率を上げてたいと考えていて、現在3D CADを導入して取り組みを進めているところです。